日本企業と“穴”

 村上龍さんのこの“穴”の話はおもしろいですね。


JMM From 村上龍 〜編集長エッセイ〜/村上龍

 そこで、考えてみました。


【上記の文章を読み、日本企業に当てはめて少し考えてみましょう!】
1.日本企業は、穴に落ちているのかどうか
2.落ちているとすれば、どんな穴に落ちているのか
3.穴から這い上がるためにもっとも必要なのは何か


1.日本企業は、穴に落ちているのかどうか

 穴に落ちたというよりは、平らだったところがバブル崩壊後に沼へと変わり、そこにどんどん埋もれていき、それがいつしか蟻地獄のようになっていったのではないでしょうか。つまり、明らかに穴があり、落ちたことを自覚したというよりは、いつの間にか自分のいる場所が蟻地獄、つまり穴の底だった。そういう感覚かもしれません。


2.落ちているとすれば、どんな穴に落ちているのか

 蟻地獄。蟻地獄に落ちた蟻がなかなか這い上がれないように、いま正に日本企業はもがいている状態と言えます。そして、その蟻地獄の底にあるもの(本物の蟻地獄の場合はウスバカゲロウの幼虫ですが)は何なのか。


 それは、少子高齢化に成熟化が重なりパイがどんどん縮小していく日本で、どう生きていけば良いのかが分からない日本企業の姿だと思います。すなわちそれは、M&A、リストラ、価格競争などコスト削減にしか目が向けられていない現状や、海外へ逃げの生産移転をせざるを得ない現状であり、現在、多くの日本企業が深くはまりこんでいるものと言えるでしょう。


3.穴から這い上がるためにもっとも必要なのは何か

 高度経済成長期に繁栄した「人・モノ・金」の経営三要素による日本的経営パラダイムを転換しなければならないと思います。作れば売れるという時代ではなくなった昨今、私たちは商品を吟味し、買う場所や誰から買うかを選ぶ時代になりました。


 それ故、選ばれるにはどうするか、お客様が求める価値を商品やサービスとしてどう実現するかは、企業にとって大きな課題です。しかし、この課題すら分かっていないため、企業はコモディティ化の道に進み、価格競争を繰り広げて、価格にしか価値を見出せないでいるのです。しかし、価格で奪った客は価格で奪われるだけで、結局は自分で自分の首を締めることになります。


 ですから、そういう方向ではなくて、日本的な関係性を重視する企業姿勢に立ち変わらなければならないと思います。すなわち、情理を尽くして関係を深め、顧客の求める価値や課題を発見し、その価値を実現し、その後もしっかりとケアを行うというようなことです。そのようにして、顧客に選ばれていかなければならない時代がもう来ていますし、それが、蟻地獄から這い出すための唯一の解だと思うんですよね。


 そうなっていくには、今までの営業活動、つまり本当の意味でのプロセスが無かった営業活動を見直し、プロセス、アクション、コンテンツ、スクリプトの再設計と、それを実現させるための仕組みやシステムが必要になるわけですが、幸運にもそれを実現する仕組みが実際に登場してきました。ですから、そういうことに気づき、着手した企業は、蟻地獄から脱出する階段に足を掛けることができるでしょうし、気づかない企業はウスバカゲロウの幼虫の餌になってしまう、そういう話だと思うのです。


 皆様はどう思いますか?穴のお話、おもしろいですね(笑)