消耗戦からの脱却を狙う、田谷のリピーター獲得戦略に迫る!!
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長年続く供給過剰で、新規顧客獲得に余念が無い美容院業界。
街中や店先でビラ配りをしたり、ポスティングをしたり、私たちは生活の様々な場面で、美容院のチラシを目にしますよね。
そんな中、少し違った角度で、顧客を獲得しようと試みている美容院があります。
その美容院とは、TAYAやTAYA&CO.、TAYA blue label、TAYA INTERNATIONAL等を展開する株式会社田谷。
この田谷グループでは、6月の上旬から『施術後2週間、髪型を無料診断』と銘打って、新規顧客獲得よりもリピーターを呼び込む施策を開始し、この競争の激しい業界を生き抜こうとしています。
どういうことかというと、田谷では今回、同社の全国114店舗で、パーマやカラーの施術後、ヘアスタイルを無料で診断するサービスを開始して、もし髪型が気に入らなければ、パーマなどの再施術をするサービスを始めたんだそうです。
また、施術後2週間以内であれば、新しい髪型の効果的なセットの仕方などの相談や外出前のヘアスタイリングの要望にも対応するんだとか。
田谷によれば、パーマやカラーは馴染むまでに時間がかかるため、施術から数日後の状態をチェックすることで効果的なアドバイスが出来るんだそうですが、いずれにしても、再来店を促すための組織的な取組を気合を入れて始めるという意気込みが感じられますよね。
もちろん、お客さんにとっても、無料でこうしたサービスをしてくれるのはとてもありがたいことです。
特に、パーマやカラーなんかは、どうも自分のイメージとは違うなんていうことも多々ありますから、こうしたサービスへのニーズは高いと思いますし、こうしてアフターケアもしてくれることで、お客さんのその美容院に対する信頼も高まるのではないかと思います。
そうなると、次回の来店やリピーター化、ファン化にもつながりやすくなりますよね。
そもそも、多くの美容院の顧客獲得の実態は、先にも書いたとおり、街中でのビラ配りやポスティングで、安さを謳い文句にして来店を促し、一度来てくれたら、ポイントで割引優遇サービスをしたりして、何とか顧客をつなぎとめるというのが現状かと思います。
つまり、値引きして、値引きして、何とか顧客をつなぎとめているわけです。
しかし、こうしたやり方では、お客さんもその店にほとんど特別な思い入れはありませんし、ライバル店がさらに安い価格を訴求すれば、そちらに流れていく可能性高いですよね。
正に、「価格で奪った客は、価格で奪われる」の論理です。
もちろん、美容師がお客さんと関係づくりをして、お客さんの心まで掴んでいるということもあるかと思いますが、その多くはその美容師個人の属人的なノウハウであり、組織的に、戦略的にそういうことを行えている美容院はほとんど無いのではないかと思います。
そして、こうした現状は、何も美容院業界に限ったことではなく、あらゆる業界で同じことです。
ここから先は、このブログでもこれまで詳しく述べておりますので割愛しますが、簡単に言えば、価格でしか価値を訴求できていないのです。
ですから、この田谷のように、まずは再来店を促す仕組みを組織的に作るという取組はすごく重要です。
もちろん、これだけで全てが上手くいくわけでなく、再来店していただいた時にどういう接し方をするのか、その後にどうするのか、そして、また来店していただくためにはどうするのか、さらには常連になっていただくにはどうしたら良いのか等々、たくさん考えなければならないことはありますが、まずはその第一歩目として組織的に仕組みを作った、サービスを始めたということに関しては、評価されることだと思いますし、見習うべき点であると思います。
美容院は、曜日や時間帯によってお客さんの混み具合が全然違いますし、お客さんの少ない時間帯にできることってたくさんあると思うんですよね。
そして、そのできることというのは、何もビラ配りだけではないわけで、直筆でお手紙を書いたり、それこそマーケティングや接客の研修をしたりとか、いろいろやるべきことはあるわけです。
お客様の髪を切っている直接接触時だけでなく、非接触時に何をするかがすごく重要ですし、そこで差がつくのです。
そして、その差をつけるための時間が、美容師たちにはきっとあると思うわけです。
美容師というプロの職業ですから、髪を切るのが上手いのは当たり前です。
その当たり前に加えて、顧客サービス、顧客ケアの視点で何が出来るか、そこに顧客が通い続けるかどうかのポイントがあるわけで、そこをしっかり行うことが出来れば、価格を下げて消耗戦を繰り広げる苦しい経営から脱却できるはずです。
今回は美容院業界を題材にこういうお話をしましたが、これは他の業界でも同じく当てはまることですから、ぜひ皆さんもご自身の会社においても、このような視点で今後の経営を考えてみると良いのではないかと思います。
これからの少子高齢化、人口減少、成熟化のトリプルパンチで、“何もしなければ”パイがみるみる縮小する日本では、そういう視点を持たない企業は確実に淘汰されていくと思います。
“何もしなければ”、ここに全ての鍵があるのです。
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