高級オーディオ人気再燃の裏にある、ロシアの真空管工場
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かつては、オーディオ機器をはじめ、テレビやラジオなどに欠かせない部品だった真空管。
その真空管も1970年代には、トランジスタなどの半導体に取って代わられ、日本では1979年に生産が完全に終了したほか、アメリカやイギリス、ドイツなど、かつて生産していた国でも、ほとんど作られなくなってしまいました。
そんな中、最近、この真空管を使った高級オーディオが、再び人気を集めてきているのをご存知でしたでしょうか。
その火付け役となっているのは、やはり、1970年代のオーディオ・ブーム時に真空管を利用していた団塊の世代のおじさんたち。
彼らは、オーディオ・ブームの後、忙しさや住宅事情などのため、一旦はオーディオから離れていたわけですが、お金と時間に余裕がある年齢になり、且つ、近年の大画面テレビなどの音響効果で音の大切さが改めて見直されたということも相まって、この真空管へと帰ってきたわけです。
とはいっても、国内などでは生産が終了しているわけですから、なかなか手に入りにくい真空管アンプ。
一部のマニアの間では、数十年も経っている中古品や未使用在庫品が、“ビンテージ管”として、高値で取引されているほどで、一時はなかなか安くは手に入らなかったんだとか。
では、どうやったら手に入るのかということで注目されてきたのが、ロシアなど東欧で作られている真空管なんですね。
では、なぜロシアでは真空管が作られ続けてきたのでしょうか。
その理由は、2つほどあります。
まず1つが、1980年代までの冷戦時代、旧ソ連などの東側諸国では、西側に比べて電子機器の半導体化が遅れたということ。
そしてもう1つが、旧ソ連軍の軍事用の機器として使われていたということなんです。
特に、軍事用の通信機器やレーダーなどは、信頼性や修理のしやすさが求められたため、丈夫で交換が容易な真空管に、旧ソ連軍の間では根強い需要があったんですね。
そんなロシアも、1991年の旧ソ連崩壊に伴う冷戦の終結により軍需品の需要が減少し、その結果、それまで国営だった真空管工場が民営化され、軍ではない新たな収益源を求めるという動きになりました。
そこで、注目されたのが、すでに真空管の生産をしていない、西欧や日本の市場だったというわけです。
そして、数年前までは1台50万円前後するものがほとんどだった高級オーディオアンプも、今や10万円前後で品質もそれなりに良いものが買えるようになったのです。
このように、冷戦時代の遺産であるロシアの真空管工場が、今や高級オーディオ人気に一役買ってた形になっているというのは、実に面白いですよね。
さて、皆さんも日々感じているように、技術というのは、日々新しいものが誕生しています。
それに伴って、古い技術は衰退し、新しい技術に取って代わられます。
しかし、ここで注目していただきたいのは、いくら新技術に世の中がシフトしても、古いモノってなかなかゼロにはならないということです。
この真空管もそうですが、やはり、中には古いモノに良さを求める人たちはいますし、特に一時ブームになったものというのは、必ず後にブームが再燃するものなのです。
また、以前VHS対ベータマックスの戦いがあり、VHSが世の中の主流となり、ベータは事実上の市場撤退にまで追いやられましたが、実は、(おそらく)今もマスコミなどのテレビカメラのテープは、ベータを使っているものが多いはずです。
少なくとも、私が学生時代に某テレビ局でアルバイトをしていた4年前には、ベータマックスを使っていました。
このように、なかなかモノや技術というのは、市場からは完全に消えないものです。
すると、どのようなことが起こるかというと、ロシアの真空管工場のように、最後の数社、最後の1社になった会社が一人勝ちするわけですね。
もちろん、時代の流れを見据えて、撤退するのも1つの戦略ですが、この真空管や、以前このブログでも触れたウィルコムや銭湯のように、我慢して我慢して、最後の1社に残るというのも立派な戦略なのです。
世の中の動きがどうなるかが非常に予測しづらい今日ですから、小泉元首相ではありませんが、経営者の事業の“引き際”を見極める目は、今後ますます重要になりそうですね。
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