百貨店業界とアパレル業界

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皆様、改めまして新年明けましておめでとうございます。




今日から仕事始めという方も、多いのではないでしょうか?




そういう私も、今日が仕事始め。




1年後に、「あ〜、良い1年だった!」と気持ち良く振り返れるように、頑張ろうと思います。




さて、それでは今年最初の本編に入っていきますね。




突然ですが、近年、アパレルメーカーが路面に店を出す傾向が強まっていますよね。




そうしたニュースや話題を、私も最近よく耳にするようになりましたので、今日は、アパレル業界と百貨店業界に関して、考えてみたいと思います。




少し前のことになりますが、日本の百貨店の統合が続々と決まりました。




それにより、百貨店業界は4強の戦いと言われていますよね。




銀座三越




統合の結果、これまでに無い顧客層を取り込めるですとか、商品の品揃えが増すというように、様々な統合の狙いやメリットが上げられていますが、はたしてそれらはどこまで本当なのでしょうか?




それを解くカギは、アパレルメーカーの“脱”百貨店の姿勢から見て取れるように思います。




さて、それでは少し歴史を振り返ってみましょう。




その昔、服といえばオーダーメイドであり、それはそれは高価なものでした。




生地を販売するお店があり、人々はそこで生地を買って仕立て屋に持って行き、そして、採寸をして自分の好きな洋服を作ってもらっていたわけです。




ですから、その昔の百貨店には、生地がずらーっと並んでおり、採寸を取る販売員がお客さんを待っていたのです。




その一方で、既製服を取り扱う企業も、たしかにその頃からありました。




それらの企業が作る既製服とは、人間の身体は1人1人違うとしても、その大きさは体系化できるという考え方から生まれたものでした。




ですから、当然ながらオーダーメイドとは比べ物にならないほど安く、皆様も聞いたことがあるかと思いますが、既製服は、その頃“吊るし”と呼ばれていたのです。




つまり、ハンガーに吊るされて売り場に売られていたということです。




そんな既製服業界に対して、百貨店業界は、“売れたら仕入れる”、“売り場面積に応じて賃料を払う”、そして、“売り場に派遣店員を派遣させる”という条件で、既製服を百貨店で売ることを提案しました。




そこから、百貨店業界と既製服業界の関わりが始まったわけです。




そしてこのことは、既製服業界にとっては、改革のきっかけとなったのです。




それはどういうことかというと、百貨店の売り場が、既製服業界にとっては、お客さんの生の声を集める、非常に貴重な場になったということです。




派遣されている店員が、日中お客さんから要望を聞き、それを営業終了後に会社に持ち帰り、製品づくりに活かす。




こうしたことを既製服業界は、コツコツと続けてきたのです。




そして、やがて既製服業界は、紡績会社から優秀な人材を採用し始めました。




売れるデザインを指定し、紡績のコスト体系を知り尽くした彼等を窓口にして、紡績会社に価格や納期の交渉をさせたのです。




既製服業界が躍進を遂げる中では、紡績会社もそうした交渉を飲まざるを得ない。




既製服業界は、そこまで力を付けてきたのです。




そして、既製服業界はブランドをどんどん作り、路面店を徐々に出していき、やがて、既製服業界はアパレルメーカーと呼ばれるようになったわけです。




このようにして、かつては“吊るし”と呼ばれた既製服業界は、今や脚光を浴びるアパレル業界へと変遷していったのです。




そんなアパレル業界が、近年、路面への出店をさらに加速しているのです。




その背景の1つにあるのは、百貨店の統合に伴う、百貨店側からの価格交渉が強まっているということが挙げられます。




こうした動きになってくれば、アパレル業界としては、利益率の高い路面店にシフトさせていくことは当然のことと言えますよね。




しかし、アパレル業界が路面店への出店傾向を強めている真の要因は、また別なところにあると思うのです。




その要因とは、百貨店業界とアパレル業界の考え方の決定的な違いから見て取れます。




アパレル業界は、先に述べたとおり、お客さんの生の声を吸い上げることにより、常に“顧客基点”で製品を作り、成長してきました。




それが、アパレル業界を“吊るし”から、今日のここまでの名声を勝ち取ったきっかけであり、最大の要因だと思います。




一方、百貨店業界はどうでしょうか?




続々と統合する百貨店業界は、結局は、仕入れコストの低減という部分に、その狙いは向いているのです。




つまり、百貨店業界は、未だに“利は元にあり”を信じているわけです。




そして、“顧客基点”で躍進してきたアパレル業界はどうかというと、“利は顧客にあり”という思想を、これまで一貫して貫いてきたのです。




こうした要因の積み重なりの中で、近年、アパレル業界では、百貨店に売上を依存するという体制から脱却し、路面店で利益を上げるという体制へ転換をしてきているわけです。




つまり、百貨店が衰退してしまう前に、路面店を出店し、販売体制の構造自体を変えてしまおうとしているんですね。




路面店で売れる仕組みを作ることができれば、アパレル業界が百貨店に依存する必要は無いわけですから。




そうなった時、アパレル業界が売れ筋商品を路面店にだけ置けば、顧客が百貨店から路面店に流れる、なんていう現象が生まれてくるのは当然のことですよね。




お客さんも、百貨店で買わなければならない理由なんてありませんからね。




ですから、アパレル業界が路面店で売っていく販売体制の構築、そして、顧客をケアするマーケティングの仕組みを構築できれば、アパレル業界の勢いは更に強まることでしょう。




そして、それと同時に、百貨店からアパレルメーカーが次々と撤退し、百貨店の空洞化現象が起こってくることは、明らかであると言えるでしょう。




私たちは、どちらを向いて仕事をすべきなのか。




百貨店業界とアパレル業界のベクトルの違いは、私たちに非常に大切なものを教えてくれている気がします。




皆様の会社も年が明けて、新たな目標を立てていることと思いますが、その目標やその戦略がどういう方向を向いているのか。




そして、自分たちが目指すべき方向はどの方向なのか。




そこに邁進する前に、1度立ち止まって考えてみると良いかもしれませんね。




今年1年の、皆様のますますのご発展とご活躍をお祈り致します。




今年も『マーケティングの品格』を、どうぞよろしくお願い致します。




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